カメラやスマホで撮った写真には、目に見えない小さなデータが必ず付いています。撮影日時、カメラの機種、レンズの設定、そして多くの場合は小数点以下5桁まで正確なGPS座標です。写真をそのまま送れば、どこで何を使って撮ったかまで渡してしまうことになります。一方、クレジットのない画像が転載されると、最後に残るのは「ネットで拾った画像」という扱いだけ、というのもよくあることです。
渡したくない情報を消すことと、入れておきたい署名を加えること。この2つは別々の作業として扱われがちですが、実は1回で済ませられます。
写真の中に隠れているもの
スマホで撮った写真をEXIF表示・削除に入れてみてください。全項目が一覧で表示されます。よくある項目は次のとおりです。
- GPSの緯度・経度:スマホは初期設定で位置情報を記録するため、自宅や職場、よく行く場所がそのまま見えてしまいます。
- 撮影日時:秒単位で記録されます。連続した数枚を見れば、生活のリズムが推測できます。
- 機種名とシリアル番号:カメラによっては、本体のシリアル番号が書き込まれています。
- 埋め込みサムネイル:EXIFに小さなプレビュー画像が入っていることがあります。トリミングした写真でも、そのプレビューにはトリミング前の全体が残っている場合があります。
多くのSNSはアップロード時にこれらを削除しますが、メッセージアプリのファイル転送、クラウドストレージの共有、メール添付、クライアントに渡すZIPは削除してくれません。プラットフォーム任せにするのは禁物です。

透かしとEXIF削除を1回で済ませるべき理由
透かしを入れるには画像の再エンコードが必要で、再エンコードされたファイルには元のEXIFブロックは引き継がれません。つまり、透かしを最後のエンコード時に描き込む限り、EXIFはすでに消えていることになり、別に削除の工程を挟む必要はありません。
画像一括処理のパイプラインは、まさにこの順序で組まれています。リサイズとトリミングが先、透かしはエンコードの直前、出力ファイルには元のメタデータが一切含まれません。数十枚の写真をまとめてドロップし、透かしを一度設定するだけで、メタデータが消えて署名入りの状態になります。
逆も言えます。再エンコードせずにEXIFだけを消すツールを使うと、透かしは別作業になってしまいます。2つを1回にまとめれば、ダウンロードとアップロードの往復が1回減り、画質の劣化も1世代分減らせます。
位置・大きさ・透明度の決め方
透かしの役目は、転載されても出どころがわかるようにすることで、画像を台無しにすることではありません。実際に使えるのは次のような値です。
- 大きさ:短辺の4〜6%。これより小さいとスマホでは読めず、大きいと被写体と主役を争います。
- 不透明度:40〜55%。文字は読めて、明るい背景でも塊にならずに済みます。
- 色:ごく薄い影を付けた白なら、ほとんどの写真で読めます。かなり暗い写真は、ライトグレーに切り替えます。
- 文字内容:名前かブランド名に©を添えれば十分です。長いURLは誰も読みません。
まず1枚目のリアルタイムプレビューで確認し、それから全体を処理します。横位置と縦位置の写真が混在していても、短辺に対する割合で大きさを指定した透かしは自動的に拡縮されるので、分けて処理する必要はありません。
全面に敷き詰めるか、隅に入れるか
隅の透かし(右下か左下)は、クライアントへのプレビューやSNS投稿に向いています。閲覧の邪魔にならず、署名もきちんと残せます。切り取られる可能性はありますが、たいていの用途では許容範囲です。
全面に敷き詰める透かしは、ポートフォリオのプレビューや、未払いの見本向けです。半透明の透かしを斜めに画面全体へ繰り返すので、切り取ることも消すこともできません。敷き詰める場合は不透明度を25〜35%まで下げてください。そうしないと、見る側がすぐ疲れてしまいます。
ロゴ画像を使うなど、1枚ずつ細かく仕上げたいときは透かしを追加を使います。複数の写真に同じ文字のクレジットを入れるだけなら、パイプラインのほうが早く済みます。
送信前の最終チェック
全体の処理が終わったら、ランダムに2枚を選んで次の2つを確認します。
- 出力した画像をもう一度EXIFビューアに入れて、位置・日時・機種の各項目が空になっているか確認する。
- 1枚をスマホ画面くらいの大きさに縮小して透かしが読めるか確かめ、次に100%まで拡大して輪郭にギザギザがないかを見る。
両方に問題がなければ、そのセットは送信できます。元の画像はローカルに残しておいてください。あとから透かしなしのバージョンが必要になっても、パイプラインを再実行するほうが、原本を探し出すよりずっと簡単です。
ロゴ透かしや背景色ごとの対処を含め、透かしのパラメータをさらに詳しく知りたい場合は一括透かしガイドを、メタデータがほかに何を漏らしうるかは画像メタデータに隠れているものをご覧ください。
